令和6年公益法人認定法の改正②-理事と監事の特別利害関係排除-
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号。以下「認定法」とします。)の改正法(令和6年5月22日公布)が、いよいよ令和7年4月1日から施行されます。
今回は、改正認定法の内容のうち、理事と監事間の特別利害関係の排除について解説します。
改正の内容
改正認定法においては、
(公益認定の基準)
第5条 行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
①~⑨ 略
⑩ 各理事について、当該理事及び当該理事と特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は三親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として政令で定めるものをいう。第12号において同じ。)にある理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであること。監事についても、同様とする。
⑪ 略
⑫ 各理事について、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであること。
⑬~㉑ 略
との規定が新設されました。改正認定法5条12号として新設された「理事と監事間の特別利害関係の排除」は、上記の条文の位置から分かるとおり、公益認定基準として新たに追加されるものであり、改正法施行後、公益法人は、この規定を不断に遵守する必要があります(この規定に反することとなったときは、行政庁の監督の対象となります。)。
「特別利害関係」とは、「一方の者が他方の者の配偶者又は3親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として政令で定める」関係のことです(改正認定法5条10号)。具体的には、「特別利害関係」とは以下のような関係をいいます(認定法施行令4条も参照してください)。
- 配偶者
- 3親等内の親族【※1】
- 一方の者と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者【※2】
- 一方の者の使用人【※3】
- ③と④に掲げる者以外の者であって、一方の者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
- ④と⑤に掲げる者の配偶者【※4】
- ①から③までに掲げる者の3親等内の親族であって、これらの者と生計を一にするもの【※5】
【※1】「3親等内の親族」とは、自分から見て、親・子(1親等)、祖父母・孫・きょうだい(2親等)、曽祖父母・ひ孫・おじ・おば・おい・めい(3親等)となります。「親族」ですので「3親等内の姻族」も含みます。
【※2】難しい言い回しをしていますが、要するに「内縁関係にある者」のことです。
【※3】使用人とは、雇用関係にある者を指します。例えば、税理士が監事になっている場合に、当該税理士の事務所のスタッフ(個人事業主である税理士が雇っているスタッフ)が理事となることはできません。
【※4】「使用人」の配偶者、あるいは、金銭等により生計を維持してもらっている者の配偶者を指します。
【※5】配偶者、3親等内の親族、内縁関係にある者の3親等内の親族かつ同一の生計にあるものを指します。例えば、ある理事から見て、その理事の「おじ」の「おい」で、その「おじ」と「おい」が同一の生計にあるならば、その「おい」は、監事となることはできません。
このような理事と監事との特別利害関係の排除の規定が設けられた趣旨について、公益認定等ガイドライン(令和6年12月改訂)・94頁では、次のように説明されています。
〇監事が本来の役割を発揮し、法人の適正な運営を確保する上で、理事と監事との間の特別な関係を排除し、理事からの独立性を高めることが必要であることから、同一の親族等が理事又は監事に占める割合についての規律(⑼)に加え、他の同一の団体の理事・使用人等の占める割合(特別利害関係(第3章第1⑽参照))についての規律が設けられている。
〇監事は、理事の職務の執行を監査する立場にあり(法人法第99条第1項及び第197条)、監事は公益法人又はその子法人の理事又は使用人を兼ねることができない(法人法第65条第2項及び第177条)ほか、監事の任期が原則理事より長い(法人法第66条及び第67条等)、監事の報酬等については定款又は社員総会で定める(法人法第105条等)など、監事の地位を強化し、その独立性を担保するための仕組みが法人法において整備されている。
〇理事と監事の親族関係については、立法当初、規律は置かれていなかったが、理事の配偶者が監事に就任していた法人で、不適切な財産管理が行われた事例等がみられたことも踏まえ、令和6年の制度改革において規律が設けられた。
経過措置
上記の理事と監事間の特別利害関係排除の規定は、令和7年4月1日の改正法施行の日に現に在任する全ての理事及び監事の任期が満了する日の翌日から適用されることとなっています(改正法附則5条)。すなわち、令和7年4月1日において特別利害関係にある理事及び監事がある場合であっても、その理事及び監事の任期中に解任等を行う必要はなく、いずれかの改選期に対応すれば足ります。
本稿情報
- 執筆者
- 梅本 寛人
- 関連分野
- 公益法人・非営利法人